そこまで話して、俺は一つの事実を思い出した。


「…そういや俊秀、上野のトコのおばちゃんにも聞いたらしいよ」

「私の母さんに? 何を?」

「単純に、“俊秀の命と上野の意識、どっちが大切か?”って。自分の命を犠牲にして上野を助けたら、って仮定で話したんだって。上野のおばちゃんは、“俊秀は息子同然だから、選ぶ事は出来ない”って答えたんだって」



……こうやって話してみると、上野のおばちゃんって薄情なのか?
いや、でも俊秀を思いやって答えたんだとは思う。

上野を見ると、複雑な表情でスポーツドリンクを飲んでいた。


「母さん、何て事を答えてくれたんだ……」


うん。俺も同じ立場なら、絶対に同じ事を言いたい。
ってか、そんな親、正直言って嫌かも。


「…上野の質問、“どうして俊秀が決める事が出来たのか?”だっけ?」

「え? …あぁ、うん」


……上野、一瞬 自分でも忘れてただろ。





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