「…あぁ、そうか」


少し落ち着いたらしく、上野の口調は優しくなっていた。

その様子を見て俺は、俊秀が上野の反応が無くて苦しんでいたから、少しだけ上野の反応が戻るように願って答えた事を、黙っておこうと決めた。


「正確には、“俺なら迷わずに血を捧げて、上野の意識を戻してもらう。それで俺が死ぬ事になっても誰かが死んだ経緯を話してくれるし、手紙だってメールだって何だって残せる”って答えてるんだよ。俊秀は俊秀自身が居なくなったとしても、上野には幸せになって欲しいって思ってたみたいだし、その考えは俺も理解出来たしね」



ごめん、俊秀。
本当は上野には、知られたくなかったんだよな。
その為に、わざわざ上野には本当の事を知らせないで、嘘まで吐いてたくらいなんだし。

ただ、それだとどうしても、俊秀も上野も幸せにはなれないと思うから。
俺は後で憎まれても、二人が幸せになるなら事実を話そうと思うんだ。





.