「俺は俊秀から、上野の意識と俊秀の命、どっちを選ぶべきかっていう相談も受けた。相談っていうより、“同じ立場だったらどうする?”って感じだったけど」

「能登君は、何て答えたの?」


…これは、さすがに答えにくい。
答えなきゃいけないのは、分かってるんだけど。

だって結局、この答えが俊秀の選択を決めた。
勿論、俊秀だって色々と考えただろうけれど。


「“俺は彼女とかがいた経験が無いから、参考にならないかもしれないけど。俺が俊秀と同じ立場なら、俺は自分の命を諦めて、上野を助ける”って言ったんだ」

「…じゃあ、能登君がトシをそそのかしたの? 何で!?」


上野が強い口調で、俺を問い詰める。
やっぱ、これを聞いて怒らない訳にはいかないよな…。
怒られるのは覚悟してたけど、実際に怒られるとビビる。


「単純に、“和明ならどうする?”って聞かれたから、答えただけだよ。俺ならこうする、って」





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