ほら、ね。
彼女である上野ですら知らなかった。
きっと黙ってる事に、俊秀から見ると大事な意味があったんだろうな。
俊秀、話しちゃってごめんな。
でも不可抗力だったとも思う。話さざるを得なかった。
このままだと、俊秀も上野も幸せになれないだろうから。
「それに加えて、俊秀は凄い責任を感じてたみたい。俊秀自身が一緒に居たにも関わらず、俊秀は大した怪我はなくて、なのに上野の意識がいつまでも戻らなかったかららしい」
「そんな…。トシ、気にしすぎだよ。私はトシを庇ったのに」
「さぁな。少なくとも、俊秀はそう思ってたみたいだよ。俺に相談してきてた」
こればっかりはどうしようもない。
俊秀が考えた事を、俺達が外から変える事は出来ない。
本当に悲劇だとは思うな。
お互いがお互いを想って、自分の身を犠牲にしてる。
それを、もう片方が見て悲しんでる。
今の俊秀達は、そんな状態なんじゃないか?
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