「で、栄?」

呻いていた俺に賢が聞いてきた。

「え、で?って、は??」

なんか似たような台詞を言った覚えがあるぞ。

続きの言葉は笑哉が引き継いだ。

「コイキ、探すのかよ?」

呼び捨てにムカついた俺ちっせぇと思いながらも、あぁ。と言った。

記憶力の悪い俺だからきっと、こんなことがなければ戀木明愛が1年1組だと言うことも忘れていたままだっただろう。夏休み中ずっと待っていたんだ。今度は探しに行く。

俺が走り出すと、今度は誰も止めなかった。