「翼ならわかってくれると思ったのに…。

私は過去のことから離れたいの。

もう昔のことで、翼に心配かけるのも嫌だし、…。

はっきり言った方が、いいのかと思ったのに。」


―――――――!!


そんなグレーゾーンばりばりの話題かよ?

じゃあ、玲に纏わりつく、あの頃の話題は…。

これからも、ずっと避けていかなきゃなんないのかってことだろ?

そんなの無理に、決まってるじゃん。

玲が思うより、俺の中ではかなり由々しき問題だぞ。


「何で俺が、あいつに遠慮しなきゃいけないんだよ。」


「へ??」


遠慮、―――――??


玲は不思議そうな表情を見せ、俺に首を傾げる。


当然だ、―――。

何であいつが良くて、俺はダメなんだっつーの。


「何で、だよ。

今、俺が玲と一緒にいるんだよ。

俺が好きな格好も、普通にしてくれればいいじゃん。」


「だって…。」


だって、かよ…。

そうじゃないだろ…?

幸せだった頃も、あるじゃんか。

ほら、―――。

この写真なんて、薬指には指輪が光っていて、嬉しそうに笑ってるじゃないか。

確かに最悪な終わり方だったろうよ。

でもさ、そんな過去もあって、今があるんじゃないのか?


こんな写真、見せられたって…。


俺からすれば、どうでもいいけどな。