「…翼はね、私に似合うと思ってピンクを薦めてくれてるんでしょ?

それは、わかってるの。」


―――――――。


「ただね、私…。

ピンクとかパステルカラーとか、……。

とにかく可愛らしいものに囲まれた大学生活だったから。

なんか、あの頃を思い出してしまって、ふわふわとか、ピンクとかは…結構、辛いかな…。」


「それ、どういう意味か、全然わかんないんだけど。」


「翼も、見たくないかなあって。

私があまり嬉しそうじゃないの、やっぱり嫌でしょう?」


玲は手に持っていたアルバムを取り出した。


「これ、見ろって??」


玲は黙って頷いている。


――――――!!


そこには、ほんの少し若い、大学生の玲がいた。


お嬢様風に巻かれた髪に、ピンクのグロス。

淡いイエローのワンピースに、華奢なミュール、白いバッグ。

パンツの写真なんて一つもなく、ワンピースやフレアスカートをヒラヒラさせて笑っている。

ポニーテールの時にはふわふわのシュシュが巻かれ、華奢なネックレスに、ブレスレット。

左手の薬指には俺でもわかるような有名なブランドの指輪が光っている。

そこには、雑誌からそのまま抜け出したような、今と全く違う玲が、笑顔で写っていた。


「玲、可愛いじゃん。」


ほらね、やっぱり似合ってるじゃん。

たまにはこんな女の子らしい格好も、したらいいのに。