可愛らしいワンピースを着て、髪を巻いて。

航太の好きなカラーのネイルを施して…。

ピンクでふわふわした可愛いものは、過去の思いが溢れ出てきて、私を責め苛んでいく。

あの頃の、―――――。

航太を困らせないと、健気に頑張っていた自分を思い出すと息が苦しくなる…。

素直に甘えることが出来なかった、過去の私。

ずっと苛まれてきたこの思い。

後悔して、諦めて、また思い出して…。

翼に出会うまで、ずっと私を苦しめてきた負のループ…。


もう、翼しか見えないのに。

あの頃の自分とは違うって、わかってるのに。

こんな些細なことで足が止まってしまう事が怖くて、自分で自分が情けない…。


翼は、私に似合うからって、薦めてくれている。

単純にそれだけのことだって、わかってるから。

だから、――――。

尚更、言いにくくて…。

もういい加減、航太のことで、心配なんかかけたくない。

このもやもやした、感じ。

翼に説明の仕様がなくて、……。


そういえば、―――。

翼の前で、可愛い格好、したことないんだよね。

仕事の時はスーツだし、二人で食事に行く時もパンツが多い。


きっと普通に、ね。

男性として、もっと女性らしい格好、してほしいんだろうなあって…。

それはわからないでもないんだけど…。