服の上から胸の横辺りを指差す芽生。
その位置は俺が昔付けた傷跡やった。

そんなん、言われたら…断れやん、し。
けど、俺が今好きなんは羽音や。

「仮やったらええよ」

そう言うしかあらへんかった。
本物やない、仮の彼女。

「ほんと?!」

「必要以上に触れやんとってや?」

「うん!!ありがと、海くん!!」

へらりと笑って俺を見る。
その笑顔が無駄に怖いと感じたんは俺だけやろうか。

出来れば羽音にバレたない。