―プルルル…プルル…

どこかで着信音が聞こえる。

「あー、なんや?」

出たのは海音。
鳴っていたのは海音の携帯らしい。
…出るの早い。

「なんや、芽生か?どないしたんや?」

めい。
そう呼ばれた彼女。

名前からして女の子であろう、その人物。
私には関係ない。

そう、思うのに、

「唯一のあいつの元彼女」

蒼空が小さく言ったにも関わらず聞こえてしまった。
唯一の元彼女。

「は?今から?」

海音が私たちを見る。

「行けば?」

気がついたら口パクで海音に言っていた。
元彼女がなによ。

私には関係ないじゃない。

「分かったさかい。今どこなん?…ん、行くわ」

電話が終わったのか海音は私たちに「すまん!!」とだけ言って教室から飛び出した。

チクッと胸が痛んだのは、気のせいだろう。