私を押し倒して上に跨がる李花ちゃん。
大きく腕を振りかぶって私の頬を力任せに殴る。

私も抵抗など、しなかった。
殴りたいだけ殴らせた。

最初は痛かったけど、段々と痛さすらもなくなってきた。

目の前も、霞んできた。
悠希が必死に止めてくれたけど、李花ちゃんは私を殴るのをやめなかった。

霞む意識の中、上から温かい何かが降ってきた。
あれはきっと…李花ちゃんの涙。

「あんたに、何が…私の何が分かるんだよ…っ」

ずっと、同じことを言って私を殴っていた。

「羽音から離れろや、麻原!!」

―そう、聞こえてきたのは夢だろう。