「うん、平気。名前は?」
「俺は…空谷 悠希」
「そらたに はるき?カッコいい名前じゃん」
「お前も可愛い名前してんだろ」
二人で顔を見合わせて笑った。
やっぱり悠希は悪い人じゃない。
「空谷、早くその子ヤっちゃいなよ」
李花ちゃんの声が聞こえて私は我に戻る。
あくまで私はこいつらに捕まった、身だ。
「李花、俺は…」
「逆らうの?妹、死ぬわよ」
李花ちゃんがそう言うと悠希は黙って俯いた。
弱味を握られてるの?
妹…さん、何かあったのかな…。
「教えてあげる、馬鹿なあんたにでも分かるように」
私を見て李花ちゃんは言葉を紡ぐ。
「空谷の妹は病気で入院してるの。手術をしないと命に関わる程の病気よ。その手術代を払う代わりに言うことを聞いてもらってるの」
当たり前のように呟く李花ちゃん。