「かい…と…?」

ゆっくり海音の側へと膝まずいて手を握った。
海音の手は既に冷たくなってたけど、まだ生きてた。
小さく呼吸して、私の手を握り返してくれた。





でも、海音はこんなことを呟いた。











「…あい、してた…で」




薄く笑う海音。
顔色が、唇の色が次第に薄れていくのが分かる。

どうして、過去形にするの?
この状況で、自分はもう死ぬと分かっているの?



ねぇ、海音。
もう一度いつもみたいに「好きやで」って「愛してんで」って言ってよ。



海音…っ!!


「い、いゃぁああああ!!」

私は泣き叫びながら海音の手を握り締めていた。
だけど、それもつかの間。


私の意識は遠退いていく。

「救急車。呼べ!!」

そんな声が聞こえたような気がした。