『ふは…っ、俺は…羽音のこと…愛し、てんで…って』

海音の様子がおかしいような気がした。
息遣いが荒いと言うか…苦しそう。

私の気のせい?

「いきなりだね、私も―…」

『きゃぁあっ!!』

『大丈夫ですか?!』

私が「私も愛してるよ」って言おうとしたら海音の電話から女の人の叫び声と男の人の冷静な…少し焦ったような声が聞こえてきた。

でも、その声よりも私には…はっきりと聞こえてしまったんだ。

女の人が叫んだ時に、もう一人女の子が喋ったんだ。
ものすごく冷静でものすごく嬉しそうな…そんな声と。

海音の手から恐らく滑り落ちたであろう携帯が地面に落ちる音。

その二つが一番大きく聞こえた。