「んまぁ、キスしてからのムードちゃう?」

「…ん」

「あ。その棚ん中に"アレ"あるさけ持っときぃや」

「なんで棚の中にあんだよ!!」

「…俺やで?持ってるに決まってるやん」

「誇るな!!」

「誇ってへん」

「…もういい」

こいつといたら俺が疲れるだけだ。
でも、まぁ…貰っとくか。

俺は無の感情で"アレ"を取り出した。
…何も思わずにこれを持ち歩くのは気が引けるけどな。

「…頑張りや」

去り際に聞こえた小さい海音の声。
海音なりに、俺を励ましてくれたんだと、改めて思った。

「さんきゅ」

俺も小さくそれだけ告げて部屋に戻った。





…ちゃんと、綾芽と話し合うか。

俺はそう、心に決めた。