「羽音…入っていいか?」

ドアの外から聞こえる声。
私は躊躇わずに「うん」と返事をした。

入ってくるなりベッドへドサッと倒れ込む綾芽。
そしてわざとらしく大きな溜め息を一つ。

「どうしたの、綾芽」

「…あのさ、あたしらまだヤってねぇんだよ」

「何を?」

「…セックス」

「…ああ。でも、普通じゃない?」

綾芽の悩みが分かった。
そりゃ、まあ…二人っきりだけで話したいよね。
教室や本人たちの前では決して言えないし。

でも、綾芽とかの年齢なら…ヤってなくても普通だと思うんだけどな。