「お待たせ。誰が何処を使うかは自分達で決めてちょうだいね?」
「ありがとやで」
それだけ言うと海音はスタスタ歩き出す。
綾芽も蒼空も私も着いていくんだけど…親子の会話が少なすぎる気がする。
気のせいなのかな。
まあ、いいか。
いつか海音の口から聞けるだろうし。
今は黙って見ておこう。
「いつものでええやろ?」
「おう」
「ああ」
いつもの?
ここでもまた、私だけが全く分からない。
全部の部屋が豪華すぎて…寝れないかも。
布団とかふかふかなら寝れるのに。
緊張してたら寝るどころか喋れない。
「羽音の部屋はここや」