「…かい…っ」
「……ん?」
黙って、そう目で訴えるように私を見つめる。
ヤバい…流されそうなんだけど…。
こんな大人な…濃厚なキスをされた私は、もはや抵抗なんてできる力は残っていない。
腰の力が抜けるような感覚に襲われて目を瞑って海音にしがみつくような形になる。
海音は私の腰をがっちり抱き寄せていて。
「…っふ…」
やっとの思いで唇が離れたと思うと、私の唇をペロッと舐めてから一言。
「ごっそうさん」
にっこり…いや、ニヤリと笑っている悪魔がそこにいた。
肩で息をしてるような私と、呼吸一つ乱れていない海音。
この違いは…どうして?なんて聞く必要もない。
海音だから、慣れてるんだ。
それでも私は嫌じゃなかった。
もうね、恥ずかしいだけだよ。
周りに誰もいないから良かったものの…。