「羽音、行こか」

「うん」

綾芽と蒼空には言っておいた。
だから二人もきっとデートしてると思う。
久しぶりの二人っきりっぽかったし。

「…ん、手」

「…手?」

海音がいきなり自分の手を私に差し出した。
…なぜ?

意味がわからず私は首を傾げる。

「…こうやって」

そう言って私の手を掴んだ。
…所謂、手を繋ぎたかった、と言うこと。

しかも、指を絡める恋人繋ぎとやら。
恥ずかしい…。

「…海音?」

「なんや?」

「恥ずかしいんだけど」

「我慢しいや」

…我慢しなくちゃいけないのね。
まあ、苦痛ではないから我慢もできる。
我慢と言うより…いいプレゼントだ。