「海音は?」
「俺は母親と弟おるで」
海音に弟?…海音みたいな関西弁で海音みたいな自己中なんだろうか。
…失礼すぎるね、私。
「そっか」
私だけが、一人暮らしで私だけが、家族いないんだね。
「ねぇ、昼休みさ。屋上いかない?」
「羽音から言うてくるなんて珍しいやん。どないしたん?」
「うん、色々と話したいから」
「ん、昼休みな」
海音は気付いてるのかな。
変なところで鋭いし、変なところで鈍い。
悪いことじゃないけど…たまにイラッとする。
だって、ねぇ?
「大丈夫」なんて言ってられない。
今なら言える気がする。
この人たちなら信じても大丈夫だと思う。
ペラペラ喋ったり…しない。