「ムードも何の欠片もないやっちゃな」

クスクス笑って私の顔を見て頭を撫でる。

あ…目、開いたままだった。
馬鹿だ私。

「…ごめん」

「別にええけど、覚えとるか?約束」

「約束?」

私、海音と約束なんてしたっけ?
…してないはずなんだけど。

「…はぁ。羽音からキスしてくれるんとちゃうん?」

…!!
いつぞやに約束した、ことある。
私が惚れたら私からキスする、みたいなこと言ったような…。

「…思い出したような顔してるやん」

ニヤッと笑う海音は何故か私に恐怖を与えた。
恐怖と言うか…不気味。

少し屈んで目を瞑ってる海音。
このまま逃げ出すことも出来る。








…それが出来ないんだけど、ね、