「お前らはここで待ってろ。俺が買ってくるから」

私と綾芽の話を聞いてたのか、蒼空がそう言って人混みの中へと消えた。





数十分経って、疲れきった顔をした蒼空が手になにかを持って戻ってくる。

「お疲れ、蒼空。…すげぇ人、なんだな」

「ああ…疲れた。ん、羽音」

疲れててもお構い無しに私に微笑みかけながらイチゴ飴を渡してくれた。
「ありがと」だけ言って受け取るが綾芽の分のイチゴ飴が見当たらなくて目だけ軽く泳がせると蒼空が

「あいつは甘いもの苦手だからポテト買ってきてる」と、蒼空が私に耳打ちしてくれた。

…綾芽、私を元気付けようとしてくれてる?
何も食べない私を見て心配してくれたんだ…。

「綾芽、ありがと」

綾芽の方を向いてお礼を言うと、綾芽は顔を少し赤らめて「うっせ」と言いながら私の頭をわしゃわしゃ撫でる。