「慎さんがよく言ってた。出来の悪い娘が何とかかんとかって」
その証拠に、ほら。
りっちゃん先生も言ってるじゃん。
「やっぱり?家でもよく言われてた」
「部下たちには聞こえねぇように小さく言ってたけど俺は信じたくなかった」
そりゃ、恩人だから信じたくもないよね。
私は別に助けてほしかった訳じゃないよ?
「悪かった。もっと早く気づいてれば…。お前が無愛想なのも笑わないのも分かった」
とか言いながら私の頭をずっと撫でる。
何か、お兄ちゃんみたい、りっちゃん先生。
「いいよ、大丈夫」
「…藍咲」
「なに?」
「無理するな」
「うん、してない」
何を根拠に私が無理してるとでも言うの?