そんな、嘘だと言って。
「…そうなんだ」
「名字は覚えてないが、俺らに優しくしてくれた。族に入ることを誘ってくれた。ある意味で俺の恩人だ」
お父さん。
あんたは自分の子には愛情すら与えなかったくせに他人の子には愛情与えて、居場所も作ったんだね。
見損なったよ。
…前から見損なってたけど。
「うん」
「…何でか突然姿消して俺らも自然消滅」
ああ…それは死んだからだよ。
りっちゃん先生、今の先生はとてつもなくKYとやらですよ。
「りっちゃん先生」
「んあ?」
「その人の名字は…藍咲。藍咲慎」
「藍咲…慎…。…まさか、お前の…!!」
流石先生。
すぐ分かってくれたんだね。
「そうだよ、私の父親」
「お前が…慎さんの…」
りっちゃん先生は悲しそうな瞳をして私の頭を撫でた。
きっとりっちゃん先生も薄々は分かってる。