「朝のHRはこれで終わりだ」

りっちゃん先生の言葉を合図に皆はざわざわとしだす。
佐原さんに質問する人も居れば読書をする人、友達とお喋りする人や教室から出ていく人、色んな生徒がいる。

一番多いのは質問する人だけどね。
そんな人たちにも構わず佐原さんは海音の後ろに立ち、後ろから抱きついたりしてる。

嫌でも見えてしまうその光景に私の胸はチクチク痛んだ。
でも、なぜか分からない。

「私は佐原芽生、よろしくね?あなたは?」

私の方を見て首を傾げる。
…返した方が、ってか、返さなきゃ駄目だよね。

「…藍咲羽音」

「羽音ちゃんって呼んでいい?」