海音の席の近くまでいくと佐原さんは、にっこり笑って口を開いた。

「海くん!!後で学校内、案内して?」

海くん…そう呼ぶ佐原さんは海音の特別。
…元彼女だから海くんなんて呼ぶんだろうなーなんて思ったりもしてみた。

「…めんどいやん」

「いいでしょ?海くん?」

今度はさっきの にっこり笑顔ではなくて少し悪戯っぽく、まるで弱味を握ってる相手に向けるような笑顔だった。

「…適当でええやろ?」

「ありがとっ!!」

そう言って佐原さんは自分の席に座って前を向いた。
座り際に「久しぶりだね、蒼空くん!!」と付け足して。

それに対して蒼空は「あぁ」だけ言っていた。
なんか、変。