美しい夜空にみとれていた私は斗哉の声でふと我に帰る。
そうだ!本題に移らなきゃ。
「あ、あのさ斗哉。わ、私相談したいことがあるって言ったでしょ?」
「ああ、どんな悩みなんだ?」
「わ、私好きな人ができたかもしれないの!!」
い、言っちゃった・・・。
恥ずかしくて顔が赤くなるのが分かる。
「そんなことで悩んでたのか?お前らしくないな。」
斗哉の言葉にムッとしてしまった。
斗哉はそのまま話を続ける。
「そんなことって言い方は悪いが、この年頃になれば当たり前のことだろ?」
分かってる、そんなことぐらい・・・。
でも好きな人ができてからどんどんとおかしくなってきてる。
私らしくない私・・・。
そんな気持ちの変化が怖いのかもしれない。
「うん、分かってる。さっき、斗哉言ったでしょ?『お前らしくない』って
私変わっちゃったのかな・・・?どうしよう・・・怖いよ、斗哉。」
何故だかわからないけど涙が溢れてくる。
こんな私を見てどう思うのかな・・・、斗哉は。
「そんなことない。お前は何も変わってないよ。最初は誰だって戸惑うぞ。だから変に悩むな。」
斗哉が微笑みかけてくれる。
私は斗哉のことを変わってしまったと思っていた。
でも違う、変わってなんかいない。
昔の、あのときの優しい斗哉のままだった。
「そっ、そっかぁ~。ありがと。」
思わず顔がにやけてしまう。


しばらくして、涙が止まった。
「で、相手の名前は誰なんだ?」
名前・・・わからない・・・。
「じ、実はさ、名前わからないんだよね。ほぼ私の一目惚れかな。」
斗哉が苦笑いをする。
「なんなんだよそれー。じゃあ、まずはそいつの名前知らないとだな。」
そうだよね。今度こそ話しかけて名前聞かなきゃ。
が、がんばります・・・!。