帰り道、私は一人で帰路につこうとしていた。
「あれ、瑠花か?久しぶりだな。」
後ろから声をかけられ、足を止めて振り向く。
「斗哉?久しぶりって言っても入学式の時会ったでしょ。」
結木斗哉、私の幼馴染み。
家も隣同士でいつだって一緒だった。
私の大切な親友の一人だ。
ちなみにヒナよりも付き合いが長かったりする。
小学生の頃は小柄だった癖に中学に入ってからは斗哉はどんどんと身長が伸びた。
私は女子にしては高い方だが斗哉の身長とは大分離れ、追い越されている。
それだけじゃない勉強もスポーツもどんどんと追い越されていく。
そんな遠い存在になってしまった幼馴染みのことを悔しくそして寂しく思った。


「はは、そうだな。でも俺達最近あんまり話してないだろ。」
「そうだけどさ。取り巻き多すぎて話したくても話せないもん。」
斗哉は人気者だ。何時だってクラスの中心人物。
才色兼備で文武両道な優等生なんだから。
「そうだな。てかお前、浮かない顔してるけど悩みでも有るのか?」
「へ?なっ、悩み!?」
しまった。声が裏返った。
「やっぱり有るんだな。本当にお前は分かりやすいぞ。」
う・・・。鋭い。
多分、斗哉に隠し通すのは無理がある。
「うん、実はさ・・・。斗哉の言う通り悩みがあってさ・・・。」
「ふーん、やっぱりな。俺で良かったら聞くぞ。」
「え、えっとここじゃなんだし。家帰ってからにしない?!」
そんな『好きな人が出来たかもしれない。』なんて悩み歩きながらなんて話せない。
「帰り道、話せないような悩みなのか!?」
「ええっと、その………『恋』?の悩みだからさ…………。その、恥ずかしいっていうか。」
斗哉は少し驚き、
「……まさか瑠花が恋するなんてな・・・。」
そう小さく呟いていた。
「まあ、家帰ってからその話は聞くぜ。」
「あ、ありがと・・・。」
離れていた斗哉との関係が昔のように戻った気がして嬉しくなった。