結局、『好き』という感情がよく分からないまま、私は朝を迎えた。

「るか!おはよー!」
私が教室に入ると同時に、ヒナが私に気がついてこちらに向かってきた。
「あ、ヒナ!おはよ~」
私はそう言い、自分の席に座る。

すると、
「あ、そういえばさ・・・」
ヒナが何かを思い出したかのように話しかけてきた。
「?なに?」
「あのさ、るか。昨日『あの人』に会ったでしょ?その時さ、ほら、るか言ってたじゃん!『『あの人』のことを考えてると変な気持ちになる』って!」
「?う、うん」
何故、いきなりその話題なのだろうか?
私の頭の中は、?マークしか浮かばなかった。
「それってさ!あれだよ!!あれ!」
「あ、あれ・・・・?」
だんだんヒナの言っていることが分からなくなってきた。
「そう、あれだよ!・・・こ「お前らー、席つけー!」・・・あ」
ここで運悪く先生が来てしまった。
てことで、話は一旦中断ということになった。
「るか、また後で!」
ヒナはそう微笑し、自分の席へと戻っていった。

私は、彼女が言いかけた言葉が気になって仕方がなかった。
「『こ』って・・・なんだろう」
私は、雲一つない、綺麗に広がる青空を見てそう小さく呟いた。