眩しい光が部屋に注ぎふと目が覚める。
朝か・・・。支度しなきゃ。
今日から授業始まるんだっけ。憂鬱だな。
なんてことを考えながら支度をする。
今日も『あの人』に会えるかな・・・。


気怠い授業が終わり、私は思い切り伸びをする。
「あ~。疲れたぁ。」
「疲れたね~。お昼、屋上で食べない?」
ヒナに誘われ昼食は屋上で食べることになった。

「ねぇねぇ!るかってさ、昨日の『あの人』のこと気になってるの?」
そんなヒナの質問に顔が赤くなる。
思わず飲みかけのいちごオレを噴きそうなった。
「そそそ、そんなことないって!!」
「本当~?顔真っ赤だよ。るか、『あの人』のこと好きなんだ?」
「すっ、好きぃ!?」
変な声が出てしまった。
「あは、その態度は図星だね~。」
やっぱり親友なだけあってヒナは鋭いな。
「そそそんな、好きっていう訳じゃなくて・・・。ただ・・・。」
「ただ・・・?」
「こう『あの人』のことを考えてると変な気持ちになる、の。」
「変な気持ちって何?」
「そっ、それが自分でもよく分からないんだよ・・・ね。」
ヒナがレモンティーを一口飲む。
「ふふっ、私はるかのこと応援するよ。だって大切な親友だもん!」
「ま、まだ好きだって決まったわけじゃないのに~。」
他愛のない話をする。
ガチャ、
誰かが屋上に来たようだ。
「誰だろ・・・?」
私は屋上のドアの方を見る。
息が詰まる・・・。
昨日の『あの人』だ。
まさかこんなところで会えるなんて。
「るかるか!!昨日の『あの人』だよ!話しかけ」「ヒっ、ヒナ。もう教室行こっ・・・!」
ヒナの声を遮り、急いで昼食を片付け、屋上を出る。
結局、私と『あの人』の関係の進展は今日も無かった。


「はぁ~。あの時私なんであんなことしたんだろ・・・。」
帰宅し、ベッドに横になる。
「『好き』かぁ・・・。」
こんなに悩むなんて私らしくないよなぁ・・・。
『好き』という言葉は中学生の頃何度か告げられたことがある。
でも付き合ったことは1度もない。
私、今まで好きな人とか出来たことないんだよな。
こんな気持ち、今まで経験なんてしたことない。
「これが『好き』ってことなのかな?」
そんな少女漫画の在り来たりなセリフを呟く。
未だに私の心には靄がかかったままだった。