私は堀川瑠花。
この春、高校1年生になる。
期待や希望で胸がいっぱいだ。
「今日から高校生か。」
そう小さく呟いてみた。

「るかー!」
どこか聞き覚えのある声が後ろから聞こえてきた。
「ヒナ?」
振り向くと小中学生時代の親友杉澤日向ことヒナが立っていた。
小柄で華奢な幼げな印象は変わっていない。
「るか制服似合ってるよ。大人っぽい。」
「そうかな?ありがと。」
なんて他愛のない話をヒナとしながら歩く。

「きゃっっ!!」
私は話に夢中になった挙句、
人にぶつかり、転んでしまった。
「大丈夫か?」
そう落ち着きのある声で聞こえてきた。
「あっ、ぶつかっちゃってすみませんっ!」
そう言って急いで立ち上がり、頭を下げる。
「大丈夫だよ・・・。顔を上げて。」
顔を上げた時、その声の持ち主と目が合う。
その瞬間、心から何か不思議な感情がこみ上げてきた。思わず立ち尽くす。
何なんだろ・・・。この気持ち。変なの。

「るかー、るかー。もうぼーっとしすぎ!」
ヒナの声で正気を取り戻す。
「あ、あれ?さっきの人は?!」
彼はもう目の前はいなかった。
「もう行っちゃったよ?どうしたの?」
「う、ううん、何でもないよ気にしないで!」

入学式中彼を探したけれども見つけることは出来なかった。
また、会えるかな・・・?