帰り道
「ねえヒナ何で今日、斗哉について聞いてきたの?」
ヒナは立ち止まり黙りこむ。
「どうしたの、ヒナ?」
「あのね、私斗哉くんからお誘いがあったの。」
斗哉・・・?お誘い・・・?
ふと疑問に思う。
斗哉は自分から女の子と遊ぶような性格ではない。
「二人っきりなの、それ?」
ヒナが頷く。
ああ、斗哉の好きな人はヒナなんだな。
「私ね、男の子と話したこと全くないの。」
ヒナは極度の人見知りだ。
私の前では明るいが普段はおとなしく周りとの交流はあまりしない。
「なのに、人気者の斗哉くんからお誘いがあって、私どうしたらいいか分かんない。」
確かに斗哉は人気者で女子からの人気も高い。
多分、学年で一番モテてると思う。
高校に入学してから間もないうちに既に何人もの女子に告白されている。
全て断っているそうだが。
「何かの罰ゲームだよね・・・。じゃなかったら斗哉くんが話しかけてくる訳ないもん。」
悲しそうに呟くヒナ。
親友のそんな姿を見るのは心が痛む。
「そんなことないよ!そもそも斗哉はそんな奴じゃないし。そうだ!今日斗哉に聞いてみる!」
「本当?ありがとう、るか。」
ヒナがぱあっと笑顔になる。
「じゃあ今日はヒナに肉まん奢ってもらおうかな~。」
「ちょっとるかぁ~!?……まぁ今日は特別だよ。」
「えっへへ、ありがとヒナ!大好きっ!」
「も~、そんなくっつかないでよー。」


「あ~、やっぱり肉まん美味しー!」
「るか、ちゃ、ちゃんと聞いてくれるんだよね?斗哉くんのこと…。」
「勿論。だから安心して?」
「うん。私もるか大好き・・・。」