やばっ、心の準備がっ・・・。
「何してるの?」
まさかの彼から話しかけられた。
想定外の出来事に声が出ない。
「さっき真ん中で寝転んでたよね?」
やっぱり見られてたんだ・・・。
恥ずかしいことしちゃったな。
「え、えとその、あ、青空が綺麗で・・・!」
声、裏返っちゃった・・・!
ますます顔が赤くなる。
「落ち着いて喋ったら・・・?」
う~恥ずかしい・・・!!
「青空が綺麗で、つい寝転んじゃいました!」
今度は一語一句はっきり聞こえたはずっ・・・。
「そうなんだ。俺も青空が好きだよ。」
初めて彼が笑うところを見た。
「俺さここで青空を見るのが好きなんだ。だから晴れた日は割とここにいる。」
淡々とした口調で話をする彼。
「そうなんだ。いいよね、青空!雲ひとつ無い澄んだ青空が一番好き!!悩みも吹っ飛んじゃうよ。」
私の態度に彼が少しきょとんとしている。
そういや、会話するのこれが初めてだよね。
「そうだな。俺も同じ。」
真っ直ぐな澄んだ瞳で空を見つめる彼。
彼の瞳はまるで青空のようだと思った。
澄んでいて少年のように純粋な瞳。
つくづく私は彼の虜なんだと思ってしまう。
私は彼をただずっと見つめていた。
彼は青空をずっと見つめていた。
その眼差しをどうか私の方に向けてほしい。
そう心の中で願った。


どれくらいたっただろうか気づいた時はもう昼休みの終わり頃だった。
せっかく話すことが出来たんだ。
名前・・・、今聞くべきだよね。
「あっ、あのさ私るかっていうの!1-Aの堀川瑠花。あなたの名前は?」
「名前?俺は1-Dの倉崎葵。」
葵・・・か。なんかぴったりな名前かも。
「葵君って言うんだ!同じ1年だね。よろしく!」
明日また会えるかな・・・。
でも同じ学年だし、また会える機会があるはず。
「ああ、こちらこそ。明日も晴れてたら俺はここにいると思う。」
そう言って葵君は屋上を出ていく。
「あっ、葵君!!!明日も晴れるといいね~!」
葵君は口元にうっすらと笑みを浮かばせていた。
明日も・・・きっと・・・。
葵君の笑った顔がみたいな。
澄みわたる空
そして澄みわたる私の心