「ねぇ、暇?」


そう声を掛けられた私は、

視線を地面に向けたまま前も見ずに頷く。


ここは、繁華街の路地裏。


夜の繁華街は危ない街。


そして、

夜の繁華街の路地裏はさらに危険で、

闇に包まれていた…


ここは別名、“ナンパ荒らし”と呼ばれている。


いつからか、

援交やナンパ待ちをしている女たちがここに溜まるようになった。


そして、

それを求めて男たちがやって来るのだ。


そんな風習まがいのモノが出来てから、

この場所は“ナンパ荒らし”と呼ばれるようになったのだ。


「なぁ、どっか行こうよ」


そう言って私の顔を覗き込んだ、

チャラけた雰囲気の金髪の男。


顔を覗き込んできたことで縮まった距離。


私は多少の嫌悪感を抱きながらも、

頷いて立ち上がった。