「……~男の子を紹介してくれるって言ってたでしょ? あれ、お願いしてもいい?」
「は?」



葵君がフリーズしてるけど、俺も頭がフリーズしたよ。



男の子を紹介してほしいって…。



俺は頭から冷水をかけられた気分で、気持ちが落ちていく。

あの時、俺を見ていたあの目は…勘違いだって事かよ…。




「…マジで言ってんの? お前」

「マジもマジ! ちょ~マジだよ~」



「何よ葵。かわいい顔が台無しよ? このシワ!」


「うっさい。茜、お前、何言ってんだ?」

「聞いてないの? 私と友達になりたいって言ってるやつがいるって前、言ってたじゃない?」



葵君の機嫌が悪くなっていくのが分かる。俺も落ち込みと同時に気分が最悪なものになっていく。



「その子を紹介して欲しいの!」

「嫌だね」
「な、なんでよ!?」





失礼だと分かっているけれど、ゆっくりと玄関に入って靴を脱いだ俺は、リビングに通じる扉を開ける事をしないまま二人の話に聞き耳を立てている。