俯いていたからあまり見えないけど、チラリとさっき見えた茜ちゃんの顔はちょっと頬を赤らめて目を見開いているように見えた。
な、何だぁ? この表情には覚えがあるぞ?
以前、難しい問題を解いた時、褒めて頭を撫でた時だ…。
あの後から茜ちゃんの事を思い出すようになって、好きだって自覚したんだっけ…?
「あ、ありがとうござい…ます」
「どういたしまして」
餌を貰って喜んでる犬みたいに目を輝かせている茜ちゃんにずきゅーん!! って、銃で心臓を撃ち抜かれたような気分だ。
…いや、銃で心臓なんぞ撃ち抜かれた経験も全然ないけどね。
「じゃ、俺はこれで…」
「……っ、先生ッ!! す、き…!」
これ以上ここにいたら俺の理性のストッパーが外れそうな気がして、早々にここから離れようと決めたのに、茜ちゃんの一言に歩き出してた足が、瞬間接着剤で貼り付けられたように動かなくなった。
や、やばい…。