「先輩~!!」



大学の授業が終わって、今日はバイトもなし。とは、言ってもカテキョのバイトでも、茜ちゃんが理解してくれないから分かりやすい参考書はないか探しているんだけど、なかなか見つからなくて困っていたら背後から聞き覚えのある声が聞こえて振り返れば、後輩の神田がそこに立っていた。





「ぉう。どうしたんだ?」


「先輩こそどうしたんですか? 科学なんて得意中の得意じゃないですか」

俺が立ってる所が、科学の基本を学べる参考書の棚にいるから神田は不思議そうにこちらを見る。


「ま、ね…バイト先にいる子が苦手でどう教えたらいいか悩んでんだよ」
「へぇ~…先輩でも悩む事あるんだ…」



何気にムッとする事を言われた俺は、神田をギロリと睨んだ。



神田は元カノの後輩で、男が苦手だって言っていたけど俺だけは平気だって言っていたっけ?


家族以外の男が苦手なのに俺は平気なのかいって疑問になったけど…まぁ、本人が平気って言うから平気なんだろうけど…。