私を見る彼の顔は優しかった。

「キスしていい…?」

私の返事を待たずにゆっくり近づく彼。

今まで眺めてきた空を遮り影を落としてきた彼に、私はそっと瞳をとじた。

私は彼との別れを悲しんでいる。
だって、溢れる涙が止まらないんだ。


「最後に島崎さんの笑顔を撮ってもいいかな?」

溢れる想いを押し込むように涙を拭う。

私は彼が向けるカメラの前で、今できる最高の笑顔を送った。

END