「ふぁ……あ、おかえりー」


家に帰ると母さんがあくびをしながらそう言ってくれた。


「ただいま」


「少しは落ち着いた? もう二時だよ。由梨ちゃんも寝ちゃったし、さっさとお風呂とか済ませちゃいな」


もうそんな時間になってたのか。


「分かった。そういえば母さん、何でこんな時間まで起きてんの?」


「え、いや……心配だったから……」


「それは……ごめんなさい」


もしかして、由梨にも心配かけちゃったかな。明日謝っておこう。


「いいのいいのー。ま、早いうちに寝るんだよー」


「分かった」


母さんはまたあくびをして、自分の部屋に向かっていった。


すぐに携帯でノンレム睡眠について調べようと思ったが、母さんの親切をドブに捨てるのも悪いと思い、とりあえず風呂に入ることにした。


「ふー」


身体をサッと洗って、早速湯船に浸かった俺は、全身の力を抜いて後方に仰け反った。お湯が適温で気持ちがいい。目が疲れているのか、少し風呂場の電気が眩しく感じる。


「やべ……眠くなってきた」


眠気を取るためにお湯を顔にかけようと思ったが、まぶたが重くなってきて、それをしようにもできなかった。そして、意識が途切れた。