今から4年前。あたしが中学に入って1ヶ月がすぎた頃のコト。あたしのクラスでは“いじめ”が始まった。
初めは、あたしもいじめる側だった。
だけど、その年の夏休み最終日。あたしは熱を出した。身体には何故かじんましんが出た。…今もその跡が残ってる。
やっとじんましんが治まって、ドクターストップが解けた次の日、学校へ行ったんだ。
その日は何事もなく1日が過ぎていった。
次の日、学校へ行くとみんながよそよそしくなっていた。
「じんましんは移る。」
そんなバカな噂が流れていた。

それから“いじめ”の標的はあたしへと変わったんだ。

女子からは陰口、男子からは嫌がらせ…。毎日が本当に辛かった。
そんな中、唯一の救いだったのは、爽があたしから離れなかったコト。上履きが無くなるのなんてしょっちゅうだったし、机の落書きもひどかった。
だけど、なぜか爽はいつもあたしのそばにいた。
「ウチは、あんなクズ達といたくない から。」
爽はいつもこうとしか言わなかった。

10月頃から男子のあたしへのいじめはなくなった。標的は爽へと移っていたらしい…。その時、あたしはそのコトを知らなかった…。

ある日のあたしと爽の交換ノート。
爽はこう書いた。
『椎架。ウチらのコトについてこれを 読んで真剣に考えて欲しい。
男子の標的はウチに変わった。ま、 それは、ウチにとってどうでもいいん
だけど…。
ウチが心配なのは椎架のコトなの。
ウチのコトが嫌になったら離れていっ ていいからね。椎架のコト大好きだか ら、またあんたに標的がいくのが耐え られないの。
ウチは全然平気だから…。』
あたしはこのコトを知らなかったワケだから、当然驚いた。だけど、離れる気なんて全くなかったから交換ノートにはこう書いた。
『爽。あたしは爽のコトがだぁ〜〜〜 い好きだから離れる気なんて全くな いよ。それに爽には恩返ししなきゃ いけないしさ。
大好きだよ。爽。』
すると爽からは
『そっか。椎架、ありがとう。』
と返ってきた。
短い文だったケド、爽の気持ちがこめられている気がした。
いじめられたその記憶のせいで1年生の終わりには“人間恐怖症”になっていた…。