ハルは私の手をそっと離した。
私は溢れそうになっていた涙を
手で拭った。
「迷惑かけてごめんね、ハル。ありがと。」
「当たり前のことをしただけだよ。」
ハルは優しく言った。
その優しい声が、心に染みて
また涙が溢れてきた。
泣きたい訳じゃないのに。
涙が止まらない。
どうして?
ハルは黙ったまま私を
抱き締めた。
ただ静かに、
私の心を包み込むように。
「俺が側にいるから。守るから。だから、涙が出そうになったら、俺んとこに来い。俺はいつでも受け止めっから。」
ハル?
ずるいよ。
こんなの。。
好きになっちゃうじゃん。
涙を拭いて
上を見上げたら蒼く青く澄み渡る、
4月の空が広がっていた。
そこには、晴(ハル)の眩しい笑顔があったんだ。
キーンコーンカーンコーン
私たちは一時間目をサボり
ずっと屋上にいた。
なんだか落ち着いた。
久しぶりにこんなに泣いたな。
「落ち着いたか?」
ハルが尋ねてきた。
「うん!」
よし!頑張る。負けてなんかいられないんだから!
するとハルは私のほっぺたに
触れた。
「雨音が笑ってんの初めてみた。」
ハルは私の目を見つめてきた。
「そう…かな…?」
ハルを見上げた。
「その上目遣い禁止。笑」
ハルはそう言いながら
唇を重ねた。
唇が離れるとなぜか
私は笑っていた。
自分でもよく分からないけど
心に覆っていた黒いものが
消えてスッキリした。
ハルも笑っていた。
優しい笑顔で。
「ハル!二時間目、始まっちゃうから、教室戻るよ!」
「おう!」
今日から私、
強くなります。
私とハルは教室に戻り
何事も無かったかのように
席に着いた。
相変わらず、いや、
さっきよりも増して
クラスからの視線が鋭くなっている気がするんだけど…。
すると担任の小口がやって来た。
「おいおい、一時間目サボりやがって。」
「すいません」
そう言うしかできなかった。
「罰として、山口と久保田。放課後に廊下掃除してけよ!」
え-。なんでよ。(泣)
しかもなんでハルはやんなくていいの。
「なんでハルはやんなくていいんですか-?」
と小口に聞くと、
「栗原君は、昨日転校してきたばっかでしょ?今回は多目に見てあげるけど、次からは廊下掃除ってこと!」
「えー。そんなのズルイよ(泣)」
「サボった君たちが悪いでしょうが。笑」
先生の鬼畜!ばかー。
う-。今日はほんと、ついてないな〜。