肩幅の広い君
君の背中を追う私
君は何を思って、どんな表情でいるの?
見せてよ、ねえ見せて。
君の表情が見たいんだ
「たっちゃん、かーえろっ」
ん。そういって身支度を進める幼馴染み
「行くよ」
支度を終え達也が席をたつ
「うんっ!」
嬉しそうに笑いながら後に続く千郷
放課後の騒がしい下駄箱
それでも二人、いつものように
それが当然であるかのごとく靴を履きかえ
校舎を後にする
「たっちゃん、
今日ね美奈子が数学の教科書と
国語の教科書間違えたの」
後ろ姿に投げ掛ける
「それは大変だったね」
少し笑ったような達也の声
「うん、だからね私が見せてあげたんだ」
ふーん。達也が相づちをうつ
「今日たっちゃん、体育バスケだったね」
「そうだったね」
にこにこしながら千郷が続ける
「校庭から見てたんだあ、
たっちゃんかっこよかったね」
「…そうでもないよ」
あとあのこ、千郷の口は止まらない
「里中くん!」
「ふーん」
少しトーンが変わる
「たっちゃんどーしたの?」
「別に」
そんなにトーン変えるならさ
「里中くんのラストパス」
…振り向いてよ
「あそこから繋がった柴田くんのシュート」
「ちさ、もういいよ」
「かっこよかったー」
「ちさっ!」
怒鳴るならさ
「あと、誰だっけあの4ば…」
「もういいって、」
低く冷たい声
「どうしたの、たっちゃん」
「…別に」
なら、
振り向いてよ!
「私ね!」
ねえ、こっちを見て
「好きな人いるの!!」
少し早足になり離れていく達也にも
聞こえる大きな声で言ってやった
「 …え」
立ち止まる達也
「…好きな人が」
ーゴクリ
喉がなる
「ーーーーいるの」
ふりむいて、
ふりむいて、