「おーい。悠樹。悠樹?ショウゴ。おーい戻ってコーイ…」


「はー…い。」


こいつ。コンビを解消してやろうか。


まったく、俺もお人好しだよな。こんな奴とコンビ組んでいるなんて。


『海斗(かいと)、悠樹戻ってきたか?』


「いや、まだです。どうしたんですか?こいつ。おかしくないですか?」


Princeの新曲イベントはもう3分まえまで迫って来ている。


『―ショウゴー!カイトー!―』



会場はお客さんで一杯だ。



「マネージャー何とかしてくださいよ。」


まじやばい。


『うーん。この場合たぶん恋煩いだろう?戻らせる方法もない訳でもないんだけど、』


「こ…?まぁこの際なんでもいいです。やってくださいよ。」


恋煩いうんぬんは後で問い詰めてやる。あと2分切った。


『しゃーねーな。怒るなよ悠樹。』



数秒後、目立たない所に頭突きされた悠樹が我に返った。


いっておくがおれがやった訳じゃない。


マネージャーが、



『起きんかショウゴ!本番だぞ!生だぞ!自覚持てー!!!』



と叫びながら頭突きした。


あれは痛かったろうな。

口には出してないけど。(クールキャラですから)


涙目で頭を押さえているロン毛ヅラ野郎を尻目に

おれは言った。


「おれ、関係ないから。」


「ひどいなぁ、海斗。」

「女のことで、悩むお前が悪い。」


恋なんてするものじゃない。


「悪いかどうかは、お前がよく知っているだろう?」



『30秒前です。』



まぁ、ね。知ってるけど。



『10秒前です!』



だから、相方のお前にはお勧めしたくないんだよ。