花音は傷口を確認すると、
「大丈夫。大きな血管は傷ついていないし、骨に傷もついていないはず。」
「第一そんな芸当きみにできるのか?」
「あなたなら、できるはずですよね?神楽さん。」
『―なぜ、そう思った?―』
「勘です。それに、昨日結木 神楽についてすべて調べあげましたから。あなたが医師免許を所持している事は知っています。」
「おい、まさかそいつにさせる気じゃないだろうな?そもそも針と糸なんて…」
『―私が持っている。いつも持ち歩いているからね。―』
「お願いします。」
花音は神楽にあたまをさげた。
「待てよ。どういうつもりだよ花音!?」
私は叫んだ。
なんでこいつなんかに、頭を下げる?
おかしいだろ。
そりゃ、神楽は辛かったかもしれないし、姉ちゃんの事もあったかもしれない。
それでもさ、
花音。
あなたの両親を殺した男だよ?
どうして。
「―約束したんだよ。生きるって。一緒に、ずっと、いなくならないって。」
だから、と花音は笑った。
「だから、私は、そのためなら、なんでもするの。」