私は悠樹君の下敷きになっている神楽の手から銃を奪い、
―ガァン!―
部屋の中から、撃った。
狙撃手は隣のマンションの部屋のベランダから撃ってきていた。
銃なんか扱った事もない私は、狙撃手を狙って撃っても当たるはずなく、ただ狙撃銃に付いていたレーザーポインターを壊しただけだった。
「私から…なにを取り上げるつもりなの?」
「花音!落ち着け!」
「ゆるさない!死ね!あなたなんか!あなたこそ!死ねばいい!」
銃を振り回す私を直人がはがいじめにして、
友香がカーテンを完全に締め切った。
「死ねばいい!あいつこそ!私から、もう、何を…」
何を、奪うの?
銃を落とし床に落とし、私はその場にへたりこんだ。
「嫌だ…独りは嫌だよ…悠樹君。」
死なないで。
いなくならないで。
「勝手に死んだ事にするなよ。花音。」
「貫通してくれて助かった。止血さえすれば、何とかなるんだが。取りあえず場所を変えよう。」