冷房を訪ねて三千里…ほど歩いたかと思うような、錯覚に陥りながらも、何とか街の喫茶店『love&Peace』に辿り着いた…。


「ラブ!」

「ア〜ンド」

「ピース!!」

「かんぱ〜いっ」

周りの客なんて、なんのその。至福の喜びに、テンションも上がる。

キンキンに冷えた烏龍茶で喉を潤した二人は、まだ完全に癒えたとは言えないまでも、何とか頭も働くようになった。

何気なく店内をぐるりと見渡す。


…ん?
何あの子…!?

「沙耶チャン、見て見てっ!ちょ〜うカワイイ子がいるっ!!」

そう言って向かいに座るカップルの方を指差す。

「うわ、何アレ?美男美女ってやつ?」

目を丸くし、ポカンと口をあんぐりさせる。

「美女って言うより、お人形さんみたいじゃない〜?」

「…そうだね、…日本人かなぁ…?」

「日本語喋ってるから、日本人だよぉ」

「いや、それは安直でしょ。ハーフとかかもよ?」

「あ、そっかぁ〜。クォーターとかもあり得るよね?」

「うん。意外とハーフよりも可愛いかったりするんだよ!」

髪がクルクルっとしてて、亜麻色でパッチリお目目。

う〜ん、可愛すぎる。

同じ人種だとは、とても思えない。
動いてなければ、マネキンと見間違いそう。

昔は、あんな感じのお人形で遊んだ記憶があるなぁ。

その時は勝手に、おままごとなんてして、セリフをつけてたけど…