……どうしよう。
じゃあね、でいいのかな?
ていうか、どうしてこんなところに?
誰か待ってるのかな。
バレンタインだし、実は彼女がいるとか……。
「おつかれ」
涼やかな声に、ハッと我に返った。
その言葉が自分に向けられたものだと気付いて思わず目を見開く。
……私、倉持君と会話してる!?
いや、会話とはいえないか…?
「あ、うん、そっちこそ部活お疲れ様。誰か待ってるの?」
もう片方の足もローファーをはいて、私はそう訊いた。
他に何を言ったらいいのか、結局思いつかなくて。
すると倉持君は、すこしだけ目線を泳がせた。
「……あー、あのさ」
「ん?」
歯切れの悪い返事に、私は首をかしげつつ訊き返す。