「香織 食べないの?」


私はむうっとした顔を向けた。


「なに、その顔。」


その優しく笑う小さな顔も
サラサラの少し茶色い髪も、

彼越しにみる、
大学の論文の賞状だって、


完璧を証明してる。



「食べるもん。」


「なにそれ、可愛くない〜」


そう言ってむくれる
私の頭を撫でる大きな手の持ち主は
また優しくわらった。