油断した
うちはそう思い、悔やみつつも避ける間などなかった
次の吸血鬼の一撃により、右手が犠牲になることを諦めるしかないと思い、うちは咄嗟に右腕で庇う
しかし、訪れてくるはずの痛みはいつまでたってもくる気配がしない
そのかわり、鋭い金属音
【ガキンッ…!!!!!!】
「え…?」
目に入ったのは黒く、白い姿だった
目の前にある黒塔のローブは真っ黒で、衝撃波にたなびいている
そして、白い髪のすき間から見える赤−−−
「あん…た…、…だれや?」
その少年はちらりとこちらに目をやり、気まずそうに左目を隠す
「あかん…あんたは逃げ!
ニュービーが勝てるはずない…!」
うちの声が聞こえないふりをして、彼は逃げようとしなかった