「ルノアーっ!!」
遠くから私を呼ぶ声が聞こえる。
声が聞こえた方を振り返ると、見慣れた姿が空から降りて来ていた。
「…カイン。」
思い切り手を振りながら私の元に降りて来たのは、誰よりも立派な羽根をもつ幼馴染だった。
「…ったく、まーたフラフラしやがって。黙っていなくなんなよな。」
俺が探さなきゃなんねぇだろ、と私の頭を乱雑に撫でる。
「それやめて。それに私は探して欲しいなんて言ってない!」
カインの手を振り払い乱れた髪を直す。
「お前が言わなくてもお前の親が心配すんの。で俺が探さなきゃならなくなる。」
「…お母さんは過保護すぎるの。私、もう16なのに。」
私がむっとしながら言うとまた頭を撫でられるーーーーただし、さっきとは違う優しい手つきで。
いつもと違う撫で方が何だか気恥ずかしく、思わず俯く。
「…まあ、お前は一人娘だしな。心配するのも無理ないだろ。」
な?と言いながら私の顔を覗き込み優しく微笑む。
「…ん。」
俯いたまま返事をして顔をあげた。